NewZealand親子留学体験レポート Lunguage school
NZ生活

【異文化】大人世界だってインクルーシブ

ニュージーランドの学校教育が「インクルーシブ教育」

積極的に取り入れていることは、日本でも知られていることと聞きました。


インクルーシブ教育とは、基本的に障がいのある子もなるべく通常級で

定型発達(英語でNeurotypicalと言います)の子と一緒に学び

お互い学び合おう、一緒の環境で育っていこう、というもの。


ただ、多民族多文化のニュージーランドの学校を見ていると、

障がいのあるなし以上に「どんな文化背景を持っている人も一緒に学ぼう」

という意味まであるんじゃないかと感じます。


そんな子どもたちの学校生活に、今年度からBoard of Trustees(以下BOT)メンバー

として関わることになった私ですが、メンバーに選出されてから2ヶ月、

正直キャパシティを超えてしまう精神状態に追い込まれました。


そもそも「ガバナンス」ということを、日本でもNZでも経験したことがなく、

私自身は子ども時代にNZの学校生活を送ったことが全くありません


また、もちろんですが資料は英語の専門用語、略語、マオリ語が溢れるもので、

初めて目にする人は英語ネイティブでさえ、何年もかかってようやく全て理解できる

ようになると言われるほど、とても難解なものが大量にあり、

その資料を理解するための研修講座やコンサルタントなるものが存在し、

私は学校から予算を出してもらい、その研修に参加したりもしました。

そして、私以外の4人のメンバーは、

銀行出身アカウンタント、鉄道工事(オークランドでは現在地下鉄を掘っています)の責任者、

ITスペシャリスト(兼牧師さん)に、ロータリークラブを仕切っていたガバナンスのプロ


そんなみなさんが各方面での専門知識を生かして、学校経営への疑問や指摘を投げかける中で、

「私は主婦として以外の経験と能力がないから、価値のある意見が言えていない気がする」

と大きく気持ちが落ちることがありました。


ただ、そんな気持ちのままこの3年の任期を続けるわけにいかないし、

選ばれたからには「私だから」の価値とポジションを見つけようと思い、

BOTのメンバーと校長に、ミーティングで顔を合わせる前にメールをしました。


「私はNZで育っていないからNZの学校生活を自分の身では体験したことがありません。

そして、マオリ語はほぼ全く理解できずに全ての単語に辞書が必要で、さらには英語も私にとっては

第二ヶ国語です。その上、私にはみなさんのように専門的なキャリアがないため、

主婦として以上の知識と経験がありません。

だから、学校のガバナンスという面で、私は1/5票を持つ身として、どういうポジションでいることが、

BOTにとってメリットを還元できるかを考え続けていますが、自分では答えが出せそうもありません。


私のこの学校内での強みは、私自身がESOL(英語を第一言語としない生徒のためのクラス)

生徒としての経験があること、NZ人以外の移民たちをまとめる強いコネクションがあること、

そしてNZ人とも対等に付き合える信頼関係があることです。

こんな私が、どうBOTメンバーとして役に立てるか、意見をいただけたら嬉しいです。」


というような内容のものです。


そして、返ってきたメールや、直接顔を合わせた時に言われたことは、

ほぼみんな同じで、

「あなたが自分で”取り立てて専門性も何もない”と思っているかもしれない視点と

ものの考え方は、私たちNZ育ちで一つの言語しか話さない人間には、到底ないもので、

時に目を大きく見開くような体験をさせてもらっています。マルチカルチャー、バイリンガル

としてのあなたの能力と経験は、私たちが大学に行き直しても、お金を出して講座を受けても

決して身につけることができないもので、人種と文化が多様化している今のオークランドの

学校をガバナンスする上で、あなたの存在はなくてはならないものです。

だからBOTに入ってくれて本当にありがたいし、風向きを変え得るすごいことだと思いました。」と。


そんなところに「この国は本当に社会全体がインクルーシブなんだ」

と感じ、この国の懐の深さを改めて知る体験となりました。


自分のありのままの存在が「受け入れられる」こと、

インクルーシブであるってすごい力を持つんだなと、いろんな角度から

この国の魅力を再確認です。